平等院の創建以来、宇治に居住して代々平等院を守護してきた「平等院候人(こうじん)」。
この家来衆は、平等院に奉仕するだけでなく、宇治にお茶が伝えられると茶園経営にも力を注ぎ御茶師となります。足利将軍家との繋がりが深まると支配者的立場にまで成長し宇治郷の行政面にも権勢をふるうようになりました。
しかし元亀4(1573)年、槇島城(まきしまじょう)の戦いで織田信長に敗戦し権勢は衰えますが、茶園経営の傍ら、陰になり日向になって宇治や平等院を支え続けてくれます。
また維新や廃仏毀釈などで荒廃した明治時代の平等院を立て直し、多数の文化財を現在まで継承することができたのも当時の平等院住僧と候人の志を継いだ御茶師たちのおかげといえます。
本展では、この御茶師たちの事跡を紐解き、再評価のため、平等院所蔵資料だけでなく地元に伝えられた茶師関連資料を発掘しました。今まで語られることのなかった平等院を由緒とする御茶師の系譜を明らかにするとともに、宇治茶文化を守り発展させるべく描かれた絵画や工芸品などを一堂に会して展観します。
最後になりましたが、本展の趣旨に賛同し貴重な資料をご出品下さいましたご所蔵者の皆様に心から御礼申し上げます。
会期:平成27年3月27日(金)~平成27年6月4日(木)会期中無休
場所:平等院ミュージアム鳳翔館(京都府宇治市宇治蓮華116)
時間:9:00〜17:00(鳳翔館)
料金:平等院拝観料が必要 大人600円、中高生400円、小学生300円
主催:宗教法人 平等院
「宇治茶摘之図」
狩野洞春(かのうどうしゅん)
江戸時代、平等院蔵
「菟道(うじ)旧記浜千鳥」
三嶺守際(さんれいしゅさい)著
元禄10(1697)年[寛政4(1792)年写]、個人蔵
「三好茶苦来山人の逸話」
三好茶苦来山人(ちゃくらいさんじん)(三好徳三郎)著
大正時代、個人蔵
「嘉木誌(かぼくし)」
上林清泉(かんばやしせいせん)著
天保8(1837)年、個人蔵
「茶の昔話絵巻」
上林清泉(かんばやしせいせん)作
天保14(1843)年、個人蔵
「茶の木宇治人形」
上林清泉(せいせん)・上林楽之軒(らくのけん)・岡村楽山(らくざん)・桂楽峯(らくほう)ほか
江戸時代~昭和時代、個人蔵
主な出品作品一覧
・平等院旧起・下(写) 1巻 承応2(1653)年 平等院浄土院蔵
・山城国宇治平等院開基草創因縁由来之略誌 1巻 元禄16(1703)年 平等院最勝院蔵
・宇治茶摘之画 3幅 狩野洞春画 江戸時代 平等院蔵
・宇治川風俗屏風 1隻 江戸時代 平等院蔵
・明治已来の略誌 1枚 明治28(1895)年 平等院蔵
・宇治の真景 1枚 明治29(1896)年 平等院蔵
・紀行ノ画集 1巻 六嶺著 明治時代 平等院蔵
・平等院型名号釜 1器 天正16(1588)年 平等院浄土院蔵 ・菟道旧記浜千鳥 2冊 三嶺守際著 元禄10(1697)年[寛政4(1792)年写し 個人蔵
・嘉木誌 1冊 上林清泉著 天保8(1837)年 個人蔵
・茶の昔話絵巻 1枚 上林清泉著 天保14(1843)年
・三好茶苦来山人の逸話 4冊 三好徳三郎著 大正時代 個人蔵
・都名所図会・前朱雀巻 1冊 秋里籬島著・竹原春朝斎画 安永9(1780)年 個人蔵
・拾遺都名所図会・前朱雀巻 1冊 秋里籬島著・竹原春朝斎画 天明7(1787)年 個人蔵
・茶の木宇治人形 1括 江戸時代~昭和時代 個人蔵
など