私たちが「仏」と呼ぶものは、如来・菩薩・明王・天部に大別でき、それぞれ異なる性格と役割を持っています。如来・菩薩・明王は、衆生を悟りの世界に導くことを使命とするのに対し、天部は仏法や仏法を信仰する人々を外敵から守る【護法神】の役割を担っています。
天部の最高位にあるのが梵天と帝釈天で、その守護神という性格から日本でも古くから崇められ、仏堂においては四天王などとともに須弥壇の周囲に配されるようになりました。
平等院の塔頭浄土院には、11世紀前半頃の作とみられる天部像が伝来しています。江戸時代に補作された台座には帝釈天の眷属である四天王が配され、江戸時代の什宝目録には「帝釈天並四天王」と列記されています。ところが、この仏の来歴は不明で、いつ頃なぜ帝釈天として信仰されるようになったのか、よくわかっていません。
更にこのたび台座の修理をしたところ、四天王像のうち3躯が鎌倉時代まで遡り得る古い像であることがわかりました。しかし、この仏たちもまた来歴がわからず、帝釈天の台座に安置される以前の所在や詳細は明らかになっていません。
平等院は別業時代を前身として創建以降数多の堂舎が建立されましたが、その後兵火による焼亡や藤原氏の後退などによって衰微しました。15世紀末以降は浄土系、天台系、真言系などの僧侶によって護持されますが、平等院の仏たちも千年という歴史の中でその姿を変えてきたのかもしれません。
本展では初公開となる伝帝釈天立像台座四天王像を展観しながら、その信仰の変遷を探ります。その他、修理を経て16年ぶりの堂外公開となる観音堂厨子扉絵『木村徳応筆・二天像』など、平等院の護法神たちを一同に展示します。
会期:平成28年3月26日(土)~平成28年6月12日(日) 無休
場所:平等院ミュージアム鳳翔館(京都府宇治市宇治蓮華116 平等院内)
時間:9:00〜17:00
料金:平等院拝観料が必要 大人600円、中高生400円、小学生300円
伝帝釈天立像
平安時代(11世紀前半)
同・台座
江戸時代(岩座、多聞天像)
鎌倉時代(持国天、増長天、広目天)
観音堂厨子扉絵『木村徳応筆・二天像』
江戸時代(17世紀)