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2017.10.7
終了

風はらむ仏

-天衣ひるがえるお迎えの菩薩-

平成29年10月10日

仏像の種類やかたちは様々ですが、たくさんの仏像の中で《動》を表現した仏像はどのくらいあるでしょうか。金剛力士像や四天王像を思い浮かべる人も多いでしょう。

平安時代後期、貴族の間で極楽往生の希求が高まりをみせた頃、藤原頼通は彼らの理想郷である平等院鳳凰堂を建立しました。堂内の中央に坐す阿弥陀如来は心静かに瞑想し、周囲には楽器を奏で舞い踊る菩薩たちが雲に乗って飛翔しています。軽やかに躍動する菩薩たちの姿は、まさに《動のほとけ》の傑作といえる存在でしょう。

この度、この世の極楽浄土として知られる平等院で、新たに《動のほとけ》の存在が明らかになりました。長らく聖観音として拝されていたその仏像は、後世に大きな改変を経て、現在ではその動きを封印しているものの、本来は全身に風を受けて前へ進んでいることが判明しました。

その真の姿は、人の臨終に際し、阿弥陀如来とともに浄土からお迎えにくる《来迎の菩薩》だったのです。極楽浄土を現出した平等院にあって、来迎に関わる仏像の存在が明らかになったことは、平等院の歴史に新たな可能性を示唆する大きな発見です。

さらに、本像には後世に幾度となく水で洗われた痕跡があり、ある時期に、水に関係する信仰を受けていたことも明らかになりました。日本では古来より水の力によって罪や穢れを洗い清める風習があり、これらと仏教儀礼が融合して生まれた信仰と考えられます。

本展では、修理過程で得られた知見をご紹介するとともに、先人が本像に託した祈りのかたちを探ります。

会期 平成29年10月7日(土)~平成30年1月12日(金)  無休
場所 平等院ミュージアム鳳翔館(京都府宇治市宇治蓮華116 平等院内)
時間 9:00~17:00
料金 平等院の拝観料が必要(大人600円、中高生400円、小学生300円)
主催 宗教法人平等院


  • 修理前

  • 修理後




  • 想定復元図

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