燃えさかる炎を背に鋭い目つきで威嚇する不動明王。怒りの力によって煩悩を打ち砕き、拝する者を正しい方向へ導きます。恐ろしい姿にもかかわらず、日本人にとって馴染みが深く、古来より多くの人々に親しまれています。
永承7年(1052)、平等院最初の伽藍である本堂には、大日如来とともに不動明王が祀られました。その後も五大堂や不動堂など、不動明王を祀る仏堂が整備され、日々祈りが捧げられていました。これらの建物は後に全て焼失しましたが、平安・鎌倉時代の古い仏像は今日まで守り伝えられています。
現在は観音堂に不動三尊像が安置されるほか、最勝院不動堂には災難除け不動尊が祀られ、参拝者の信仰を集めています。
この度、観音堂の不動三尊像を修理したところ、脇侍の二童子像から「正保3年(1646)」造立を示す墨書が見つかりました。当時の平等院は多宗派の僧侶が入り乱れ、荒廃した平等院の復興をめざし奔走した時代でした。本像は、その移りゆく様子を静かに見守ってきたのではないでしょうか。
現在、観音堂は建物の老朽化に伴い、修繕準備のため一般公開を停止しています。本展では不動三尊像をはじめとする観音堂伝来の什宝を特別に公開し、平等院における不動信仰の一端と平等院復興に力を注いだ先人の軌跡をたどります。
会期:平成30年4月13日(金)~6月29日(金) ※会期中無休、展示入替あり
会場:平等院ミュージアム鳳翔館 企画展示室
時間:9:00~17:00
料金:平等院の拝観料が必要 大人600円、中高生400円、小学生300円
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過去の特別展