本年、鳳凰堂建立970年を迎えました。これまで、多くの修理事業を実施、科学調査による新発見など逐次ご報告をしてきました。
本展では、鳳凰堂内に装着された飾金具(かざりかなぐ)や釘隠(くぎかくし)などの部材や、復元模写作品等をもとに、創建当初の鳳凰堂の堂内荘厳(どうないしょうごん:鳳凰堂の本尊阿弥陀如来坐像をとりまく堂内の装飾)の姿をあらためて総合的に探り、鳳凰堂内の長押(なげし)より上部の荘厳空間にスポットをあてます。
鳳翔館には「扉絵の間」において、長押より下に描かれる壁扉画の一部と、柱絵が復元されています。なかでも柱絵は極彩色(ごくさいしき)による奏楽、舞踊する天人らの姿、繧繝(うんげん)彩色による鳳凰と宝相華文様(ほうそうげもんよう)を鮮やかに再現していますが、じつは長押より上の空間の柱絵や組物(くみもの)には天人らは描かれず、繧繝彩色の宝相華文様のみ表されています。
また、雲中供養菩薩像がかかる小壁(こかべ)の上部にも宝相華文様が描かれたと考えられています。さらに、本尊阿弥陀如来坐像の上にも木造漆箔による金色の宝相華文様を表した円形、箱形の天蓋(てんがい)が付けられ、鳳凰堂の上部空間は、宝相華文様に満ちあふれた、きらめきの荘厳が表されているのです。
本展ではそれらの宝相華文様を表す作品を中心に展示します。また、併せて関連経典の展示から、阿弥陀浄土の荘厳がどのように記述されるかについても紹介します。
会 期:2023年4月18日(火)~2023年6月4日(日) ※会期中無休
時 間:9:00~17:00(鳳翔館)
料 金:平等院拝観料が必要 大人600円、中高生400円、小学生300円
主 催:宗教法人 平等院
場 所:平等院ミュージアム鳳翔館(京都府宇治市宇治蓮華116)
鳳凰堂 錺金具 平等院浄土院蔵
鳳凰堂 釘隠 平等院蔵
鳳凰堂内彩色復元模写 南面柱(内法長押上) 馬場良治筆 平成22年(2010) 平等院蔵
鳳凰堂内小壁文様想定復元図 狩俣公介筆 平成22年(2010) 平等院蔵
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